審美歯科のスペシャリストに聞く
「接着のカンどころ」

徳島大学大学院口腔科学専攻再生歯科治療学分野
門前仲町髙木歯科 院長
髙木仲人 先生

  • 「シンプルさが非常に魅力的、
    とても使いやすい製品だと思います」

    最近では、接着対象となるマテリアルが非常に多岐にわたっています。CAD/CAM修復物、PEEK冠、セラミック、ジルコニアなど、さまざまな素材に対応する必要があり、その処置が複雑化してきました。

    しかし、ZEN®ユニバーサルシステムの場合、アドヒーシブとセメントの2つだけで処置が完了します。このシンプルさが非常に魅力的で、手技が大幅に簡略化され、とても使いやすい製品だと思います。

  • 「接着力や審美性が求められる
    ケースでも使用。その後の経過も順調です」

    ZEN®ユニバーサルシステムを導入して6ヶ月が経過しましたが、これまでに使用したコンポジットレジンやセラミック、ジルコニア、CAD/CAM修復物、PEEK冠において脱離は一例もなく、非常に順調に経過しています。

    また、前歯部の審美修復に使用することが多いのですが、被膜が薄いため、マージンラインが見えにくい点がいいです。さらに経過中の着色も一切見られず、審美性の高い修復を提供できています。

  • 「硬すぎず柔らかすぎず、ちょうど良い
    バランス」

    ZEN®ユニバーサルセメントでは、練和されたペーストに気泡が混入しているのを見たことがありません。

    また、程よい粘性があり、補綴物に入れた際に垂れることもなく、非常に操作性が良いです。硬すぎず柔らかすぎず、ちょうど良いバランスで扱いやすい印象です。

    自動練和型となっていますので、セメントをそのまま注入でき、気泡が入りにくいです。

    自動練和型のメリットは、テクニカルエラーを減らせる点と作業時間の短縮です。
    セメントを手練和する場合、慣れている歯科医師や歯科衛生士、歯科助手が行うとしても、練和の上手さや練和にかかる時間に個人差があります。もし練和が不十分であれば、化学重合がうまく進行せず、ムラが生じることもあります。自動練和はそうしたリスクを大幅に軽減します。

  • ※PEEK冠症例

    ZEN®ユニバーサルシステムの「DIS™」(Double Initiator System)による重合性能についての印象

    今回の「DIS™」システムについてですが、化学重合が非常にアクティブに反応している印象があります。そのため、他社製品と比較しても、化学重合に対する信頼性が高いと感じています。

    特に、ジルコニアやPEEK冠など光が通らない材料の場合、光による重合はほとんど期待できませんので、化学重合が主な役割を担います。そういった意味では、光が届かない補綴物に対する化学重合の強さは、非常に有利に働くと感じています。

  • 「脱離しにくい理由、それは【DIS™】の反応の良さだと感じます。」

    脱離しにくい理由は、今回の化学重合システム「DIS™」の反応の良さではないでしょうか。

    また、アドヒーシブに含まれているタッチキュアも重要な要素です。それぞれのアドヒーシブおよびレジンセメントにおける化学重合成分が非常に強力であるため、脱離を防ぐ効果があると考えています。
    さらに、アドヒーシブの被膜の厚さが5μmと適度で、薄すぎず厚すぎないため、これらの要素が組み合わさり、脱離のリスクを低減していると感じています。

  • 「バランスを考慮した設計がされている
    ミキシングチップは経済的!」

    ZEN®セメントのミキシングチップはデッドボリュームを32%減少させることができるため、メーカーさんが非常に工夫を凝らしていると感じます。

    ノズルが長すぎると未使用部分が生じますが、逆に短すぎると混合が不十分になり、気泡が混入するリスクがあります。そのため、単純にノズルを短くするのではなく、バランスを考慮した設計がなされていると思います。

    コストパフォーマンスについては、他社製品と比較しても非常に優れていると感じています。個人的には、接着力の低下を避けるため、ミキシング直後のセメントは使用したくないので、最初の1センチは捨てるようにしていますが、それでも無駄が少ない印象を受けています。

  • 「被膜の薄さ」は審美修復において大きな
    メリット

    被膜の薄さは2ステップの製品に比べると約三分の一程度で、特に前歯部の審美修復において、コンポジットレジンやダイレクトボンド、ダイレクトコンポジットラミネートベニアなどを使用する際にメリットがあります。
    ボンド層が厚いと光が入った時にボンド層が見えてしまうことがありますが、被膜が薄いため、前歯部での審美的な充填が可能だと考えています。

    また、エアー操作を行う際に粘度が高すぎると、液だまりを起こすことがありますが、このボンドは粘性が適度なため、エアブローがしやすいという印象があります。

  • ※CAD/CAM冠症例

    CAD/CAM修復物やPEEK冠などの被着体に対する接着結果

    CAD/CAM修復物やPEEK冠など、従来は接着が難しかった被着体に対しても、ZEN®ユニバーサルシステムは一貫して優れた接着力を発揮しています。

    各歯面に対して、なぜこの処理を行う必要があるのか、リン酸エッチングの目的は何か、シランカップリング材入りのMDPを使用する理由について考えることは重要です。

    しかし、そうした専門的な知識を持つ先生方だけでなく、どのような先生が使用しても一定以上の接着力を発揮できることが大切だと思っています。つまり、ユニバーサルな製品であり、誰が使っても安定した接着力を提供できることが求められます。

    今回の製品は、どなたが使っても一定以上の接着力を発揮できる点が非常に魅力的です。また、アドヒーシブとセメントの2つだけで良いというシンプルさも、非常にわかりやすいと感じています。

  • 術式のポイントやコツ

    コツとしては、被着体側のエアブローを行う際に、強圧でするのではなく、重要なMDPや有効成分を残すように溶媒を揮発させるエアブローを行っていただきたいです。
    有効成分を残すように注意しながら作業することで、接着力がさらに向上します。
    光照射器に関しては、しっかりとカンファーキノンに反応するものを使用することが重要です。
    また、個人的にはこの製品の化学重合タッチキュアは若干早いと感じています。ですので、セメントアウトを行う際には、仮照射を先に行い、早めにセメントアウトをするのが良いかと思っています。

  • ZEN®ユニバーサルシステムをご使用後、治療効率や患者さんの反応

    ZEN®ユニバーサルシステムを使うことで、治療の効率が非常に向上しました。

    アドヒーシブとセメントの2つを用意するだけでよいので、準備もシンプルです。これによって、準備をするスタッフの負担も軽減されますし、私自身も手順が簡単なので、全体的な治療時間が短縮されます。

    患者さんにとっても、口を開けている時間や治療そのものが短く済むので、大きなメリットだと感じています。

  • 最後に、ZEN®ユニバーサルシステムを使って良かった点やお勧めしたいポイント

    このシステムを使うことで、接着の効果はもちろん、診療時間の短縮にもつながりました。

    特に、ステップ数を減らせることが大きな魅力です。接着をシンプルに楽しんでいただければと思っています。
    市場には多くのセメントやボンドが存在しますが、「これだけで十分」と満足していただけるかと思います。

    セメントに関しては、無駄が少なく、コストパフォーマンスも優れていると実感しています。他社製品と比較した際、オープン価格でも非常にコストパフォーマンスが高いですね。

    クリニックとしても、単価の経済性があり、必要なものが少ないため、在庫管理も楽になります。
    さらに、室温保管が可能という点も大きな利点です。冷蔵庫に入れる必要がなく、他社製品では常温保管の指示がないものが多い中で、これは嬉しいポイントです。